「M&Aでいこう!」
そうは考えているがなかなか前に進まない。
日常の業務に忙殺されあっという間に一週間とか過ぎる。
2週間もたてば、その気も醒めてくる。
「やっぱ辞めるのもったいなくね?」
「次の事業で失敗したらどうしよう?」
出来ない理由がいっぱい出てきた(M&Aあるあるだと思う)
そんな時期に同業の先輩経営者が病気療養のため会社をM&Aで売却したと噂で聞いた。
まだ50代半ばと和解が療養に専念するため、事業譲渡を選択されたという。
ご無沙汰していたがお見舞いも兼ねて先輩経営者Sさんに連絡した。
もちろんM&Aの話しも聞きたかった。
「では昼食でも食べながら」とランチのアポを取り付けた。
翌週、ホテルの中華料理店でランチミーティング。
数年ぶりにもかかわらずSさんは優しい笑顔で迎えてくれた。
思ったより元気そうで驚いた。
実のところ病気はM&Aの契約締結後には完治したらしい。
現在は趣味のゴルフと旅行、たまにフラッと仕事するというライフスタイルだ。
食事しながら興味津々でM&Aでの売却までの話を聞いた。
最初は人間ドックでガンが見つかり手術することになった。
その時に色々と考えたらしい。
会社のこと、家族のこと、自分自身の人生のこと。
本人曰く「病気で気が滅入っていたし、この仕事は子供には継がせたくない」
そういう考えに至った。
決め手は奥様の「今までもう十分頑張ったじゃない」の一言での決断だった。
あまり時間に猶予もなかったのですぐに動いた。
メインバンクの三友銀行に相談、ほどなくして同業大手からオファーがあった。
トップ面談で買い手の社長とも意気投合。病気のこともありトントン拍子で
話は進み契約締結に至った。
当初の半年ほど会長として月に2~3回ほど会社に顔を出した。
引継ぎも終わり引退したが、会社はなんとか伸びているという。
Sさんは「今後は投資でもしながらゆっくり考える」とのこと。
このSさんの話。
だいぶ端折っているがとても内容が濃いものだった。
自分の中でM&Aのビジョンが明確になってきた。