第22話 いよいよクロージング

■いよいよクロージング


クロージングの日がやってきた。
昨晩の焼肉とマッコリが少し残った感じだが、良い天気で気持ちいい朝。

 クロージングとは 

M&Aのクロージングとは契約書に基づいて株式や事業の権利を移転し、対価の決済を行い取引を完了させること。


9時に銀行から連絡があり、会社の売買代金が入金されているとの報告を受けた。
ネットバンキングで残高を確認する。
通帳にまとまったお金が入金されているがまったく実感はなく、夕方16時のクロージングまで淡々と日常業務をこなした。

約束の16時前に新社長の谷津さんが来社。
続けてHRCファンドの吉田さん、木戸さん、最後にFAの佐山さんも到着した。
定刻になったので最終の調印を始める。

思ってたよりざっくばらんな雰囲気で調印は進んでいく。
私以外のメンバーには日常業務の一つなのだろうな。

皆でワイワイ歓談しながら、佐山さんが次々出してくる書類に私は一人黙々と捺印していく。株式譲渡契約書(SMA)やマネージメント契約書、株主間契約書、募集株式の総数引受契約書など。


「とうとう売ってしまうのか・・・」
今更そんなことを考えながら丁寧に署名捺印していった。

「これで終了です」
佐山さんから完成した重要書類ー式をいただき、こちらからは実印銀行印を渡す。
全員晴々とした表情になる。

私はというと、なぜか今になり責任の重大さを痛感していた。
期待と不安と安堵と虚無感。
複雑な気持ちがないまぜなままクロージングは無事終了した。


ここからは5人で料亭に移動して祝杯をあげた。
仕事の話もほどほどに、ざっくばらんに趣味の話で盛り上がる。

クルマやゴルフや時計や恐妻の話。みんな歳も近く共通の話題で盛り上がれる。
今回のM&Aはこのメンバーで本当に良かったとしみじみ感じた時間だった。

宴もたけなわ、うちの益々の発展を祈念しておひらき。
食事会も無事終了した。

1人タクシーでマンションに帰る。

なんだかそのまま部屋に帰る気にならずコンビニでハイボールを買って多摩川の堤防へ。
夜風にあたりゆっくり目を閉じる。

創業からの25年間の色んな思いが駆け巡ってくる。
色々考えると何か熱いものが込み上げてきた。

私にとって、とても長い一日が終わった。

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