第1話 M&Aをしようと思った理由

M&Aをしようと思った理由

 

20代に大阪で小売業を起業しました。
それから20数年がむしゃらに人一倍がんばってきたつもりです。

会社も軌道にのり、念願の東京進出も果たし、売上も右肩あがりが続きました。
そんな順風満帆な時、私は会社を引退したいと考えはじめました。

会社が大きくなり安定するほど自分の仕事にやり切った感がでてきていました。
「ゼロからイチを作りたい」タイプの私には物足りなくなったのかもしれません。
仕事は楽しかったが同じことの繰り返しには飽きてきたし、企業当時の20代にやりたかった仕事を60歳までやり続ける自信がありませんでした。

今の地位に安住して会社を持続させていくのは一番楽かもしれません。
普通はそうするでしょうし辞める理由もありませんでした。
ただそれをしたいとも思えませんでした。

もちろん他にも理由はいくつかありました(また後述します)
ただ安定より挑戦、自由、人と違うことがやりたいという自分の気持ちと向き合いたい。
経営者としては無責任だと思いますし、理解されるとも思っていません。

ただ社長がこんな想いのままだと会社にとってプラスではありません。
だからこそ会社の永続的な成長ができる方法を考え、次の経営者を育てバトンを渡さなくてはなりません。

 

■ 次の社長になる人材

以前より公然と「あと数年で引退する」と告げてはいました。
会社のスタッフの中には優秀で「自分が社長になりたい」と思ってる人材もいました。彼らに譲ることを一番最初に考えましたが、後継者は株式を引き継ぐ際に買取り資金を用意しなければなりません。

買取り資金を会社から出した場合、資金不足に陥りかねないし後継者の資金調達は難しくなるでしょう。
銀行融資でMBOやEBOも選択肢に入りますが、従業員たちが巨額の借金の保証人にならなくてはいけません。
一会社員の彼らにそのリスクを押し付けることは考えられませんでした。

経営権のみ次期社長に譲渡し所有権(株式)は私が持つ。など色々と考えましたが、それだと責任の所在があいまいになりかねなく、安心して引退できません。

 

■ 経営権のみをスタッフに渡したケース

実際に友人がスタッフに経営権のみを譲渡し試みましたがうまくいきませんでした。

 

友人Gさんのケース

60代になったG社長はナンバー2のスタッフに社長を任せ、自身は会長として社会貢献や自分の趣味に没頭する。

半年もたたないうちに新社長についていけない社員が出始め離職者が増え始めた。社内は不穏な空気が広がりはじめ、やがて業績は下がり始める。

見かねたGさんは1年後にまた社長に復帰することになる。
そのあと社長を務めたナンバー2は居づらくなり退職、会社は元の状態より悪くなり閉塞感につつまれた再スタートとなった。

 

これは資本(株式)をGさんのままで経営をスタッフに任せたが、うまく回らなかったケースでした。

資本(株式)を持ち続けたGさんと新社長の間で、経営の権限や責任の所在があいまいだったのかもしれません。
結果的にGさんが社長として再登板せざるをえない状態になりました。

会社、スタッフ、私、全てうまくいく方法はないかと思案してる中、先輩経営者のSさんが病気療養のためM&Aで事業譲渡をしたと聞きました。

さっそくSさんに連絡しお話を伺いにいくことにしました。